脳出血で意識不明の重体に…

手術で意識レベルが回復する見込みは?

回復しなかった場合の余命は?



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脳出血とは?

脳出血

脳出血(脳内出血)は
高血圧動静脈奇形などが原因で脳の血管が破れ、脳実質内に出血した状態を言います。

我が国では癌、心疾患、肺炎に続いて死因の第4位を占める重大な病気です。

脳出血の症状は?

発症時の主な症状は以下のとおりです。

  • 意識障害
  • 呼吸障害
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 片麻痺(運動麻痺)
  • 感覚障害
  • しびれ
  • 失語症   など

その中でも発症直後の命に関わるのが意識障害です。

なぜ意識障害が起こる?

脳内に出血した場合、血腫と呼ばれる血の塊が形成されます。この血腫が周囲の脳を圧迫し、圧迫された脳細胞の機能を低下させます。

この血腫が大きい場合、頭蓋内圧亢進症により脳ヘルニアをきたします。

脳ヘルニアとは?
硬膜で仕切られたコンパートメントにおさまっている脳が血腫などの占拠性病変や部分的な浮腫によっ て本来の位置から押し出される状態を脳ヘルニアという。押し出されることによって陥入組織だけでなく陥入した先の組織まで圧迫・変形するため、様々な神経症状をきたす。(引用:病気が見える脳・神経)

脳ヘルニア

この脳ヘルニアによって脳幹が圧迫されて意識障害が生じます。

脳幹は延髄、橋、中脳、間脳(視床、視床下部)から構成され、生命維持に必要な機能を司っています(下図)

脳幹

脳出血の治療法

脳出血手術

脳出血の治療法は下記の要因によって選択されます。

  • 患者の全身状態
  • 出血の量
  • 出血の部位

患者の意識がある程度はっきりしており、出血量も少ない場合は内科的治療(血圧管理、抗脳浮腫薬など)が選択されます。

しかし、
出血量が多く血腫が脳幹を圧迫して意識障害や呼吸障害がある場合は外科的治療(手術)の適応となります。

脳出血の手術

主に行われる手術は以下の2つです。

  • 血腫に対する血腫除去術(開頭または内視鏡下)
  • 急性水頭症に対する脳室ドレナージ

上述したように
「出血量」「出血部位」によって術式そもそも手術自体を行うかどうかが決まります。

脳出血の好発部位は以下のとおりです。

脳出血好発部位

それぞれの手術適応について以下にまとめました(詳しくは最後尾に記載してある関連記事をご参照ください

  • 被殻出血や皮質下出血、小脳出血に対しては、血腫除去術(開頭または内視鏡下)が選択されます。
  • 視床出血は一般的に血腫除去術は行いません。血腫が脳室穿破した場合は脳室ドレナージなどの外科的処置が選択されます。
  • 脳幹出血に対しては手術の適応はありません。

手術で意識レベルが回復する見込みは?

これは患者の状態によって様々です。

既に意識障害をきたしているということは、かなり悪い状態であることが分かります。そして、手術の目的はまず救命することなのです。術後に救命できたとしても植物状態になる可能性も十分ありえます。

よって、
厳密にどれぐらいの確率で意識が回復するかを数値で表すことは不可能に近いと思います。
ただ、下記の要因の影響を強く受けることは間違いありません。

  • 発症から手術までの時間
  • 発症時の意識レベル
  • 脳内の出血量とその部位
  • 年齢
  • 全身状態(合併症の有無)

意識が戻るまでの期間は?

これも患者の状態によって様々です。

「血腫がどれだけ除去できたか」がカギとなります。

血腫が残存している場合、血腫が完全に吸収されるまでは約1ヶ月かかります。

また血腫による圧迫でダメージを受けた脳はむくみます(これを脳浮腫と言います)脳浮腫は1〜2週間でピークとなり、個人差もありますが、完全に消失するには数ヶ月はかかると言われています。

よって
意識回復には少なくとも1ヶ月以上は待つ必要があります。

術後の余命は?

これも一概には言えません。

意識障害があるということは、脳幹へのダメージは深刻であるため状態が落ち着くまでは急変する可能性が高いです。また、一度脳出血を発症した患者は再発するリスクも高いです。

術後数日や数週間で再出血をして死亡する事例もあれば、年単位で生存して意識障害が遷延する事例も報告されています。

脳出血後の生存率に関してはこちらの記事を参考に。
脳出血の生存率は?予後を左右するのは血腫の大きさ

余命に関しても下記の要因に左右されます。

  • 全身状態
  • 年齢
  • 合併症(肺炎などの感染症、褥瘡など)
  • 再発リスク

余命を延ばすためにも胃ろうの造設は検討しなければなりません。
肺炎を予防して全身状態の管理を徹底するには胃ろうの造設を検討すべき?

まとめ

脳出血後の意識障害が回復する可能性は発症直後の段階では断言できないと思います。

ひとまず救命して全身状態が落ち着いた後に、
取りきれなかった血腫が吸収されたり、脳浮腫が軽減することで症状に変化が現れるかもしれません。

日々の経過を追うことで担当医も予後を把握することができるはずです。

最後に

身内が脳出血を発症して意識が戻らなければ、不安や焦りを感じて夜も眠れない日々が続くかと思います。

でも、焦りは禁物です。

まずは落ち着いて介抱の合間に自身の体を休めてください。自身の健康を損ねないよう、休める時に休んでおくこと。何もかも抱え込まないで周囲の人や医師に相談しましょう。

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