脳幹出血は脳出血の中でも最も危険な病気..
生存率や意識回復にかかる期間は?
脳幹出血患者の実際についてご紹介します。
脳幹出血は危険な病気
脳幹の特徴を以下に記します。
- 運動神経や感覚神経の線維の束が集中している。
- 脳神経核(ここから脳神経が出る)が集中している。
- 脳幹網様体(意識水準の調節や生命維持などの機能を持っている)
- 自律神経反射の中枢(呼吸・循環・対光反射・嚥下・嘔吐など生命維持に不可欠な内臓機能の中枢)
こちらの記事も参考に
▶︎ 脳幹出血の原因と症状は?前兆症状をチェックして再発を予防
とにかく、
脳幹は生命維持に重要な機能をたくさん担っているため、脳幹出血は脳出血の中でもかなり危険な病気と言われています。
生存率は?
脳幹出血は脳内出血全体の10%を占めます。
生存率は一般的に20〜30%と言われおり、一命をとりとめたとしても強い意識障害が残存するケースが多いため、予後は極めて不良です。
上図は脳幹出血の中でも1番頻度が多い橋出血のCT画像になります。
橋の中心部に広範な血腫を認めています。これぐらい血腫が大きいと死亡率は高く、数時間〜数日で死亡するケースがほとんどです。広範な橋出血は極めて予後不良なのです。
やはり
生存率は血腫の大きさに左右されます。
▶︎ 脳出血の生存率は?予後を左右するのは血腫の大きさ
橋出血の生命予後不良因子
死亡例の多くには下記のような特徴があります。
- 来院時のGCSがM1またはM2(刺激に対して全く反応がない状態または除脳硬直肢位)
- 来院時にすでに対光反射が消失している
- CT所見で中心型血腫を認め、血腫が中脳や視床、延髄にまで達している
- CT所見で血腫が第4脳室に脳室穿破している。脳室拡大を認める。
- CT所見より血腫横径が21mm以上(血腫量が6ml以上)
- 来院時に39℃以上の中枢性の過高熱
- 70歳以上
来院時に既に重度の意識障害があり、出血量が多く、血腫が橋以外におよんでいる、脳室穿破している場合は要注意です。(70歳以上で橋出血を発症した場合は死亡率が高い傾向を示していますが、統計学的に有意なものではありません)
逆に、
血腫横径が20mm以下の場合は、血腫が橋に限局しているため、予後良好となるケースが多いです。
なぜ手術できないの?
脳幹部は大脳の下に位置しており、手術可能な大脳皮質や大脳基底核と比べると外科的アプローチがしづらい上に、生命維持に必要な機能がたくさん備わっているため、下手にいじれない、手術ができないんです。
ただ脳幹出血のうち脳室内穿破が主体で、脳室拡大が強いものは、脳室ドレナージ術を考慮することもあります。他にも呼吸障害を呈する症例には積極的に気管内挿管あるいは気管切開を行ない必要あれば人工呼吸器管理を行います。
意識回復にかかる期間は?
これは患者の状態によって様々です。
何とか生存したとしても、
厳密にどれぐらいの期間で意識が回復するのか、そもそも意識が回復するかどうかは担当医師でも分からない神のみぞ知る領域です。
▶︎【脳出血で意識不明】手術で意識が回復する可能性は?余命は?
ただ、
下記の要因の影響を強く受けることは間違いありません。
- 発症時の意識レベル
- 脳幹内の出血量とその部位
- 脳室穿破や水頭症合併の有無
- 年齢
- 全身状態
少しでも早い意識回復を願うばかりです。
以上、参考になれば幸いです。
でわ。
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