脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)は思っているよりも身近な病気。
高齢者だけがなるなんて思い違いかも?
若者よ!若年性脳卒中になりたくなかったら今すぐ脳ドックへ行け!
目次
脳卒中とは?
脳卒中とは血管の閉塞、破綻などにより突然神経症状が発現した状態の総称です。ときに脳血管障害と同義語として扱われることがあります。
脳血管の狭窄、閉塞などによる虚血性疾患と脳血管の破綻による出血性疾患に分けられます。
虚血性疾患には脳梗塞
出血性疾患には脳出血、くも膜下出血などがあります。
高齢化により人口あたりの脳卒中発症数は増え、後遺症によって要介護状態となる脳卒中患者は後を絶ちません。近年では、脳血管障害は「寝たきり」及び「要介護状態」の原因となる疾病第1位とされ、社会的な損失は計り知れません。(参考:厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概況」)
脳梗塞は年間に約30万人が発症する国民病とも言われ、すぐ身近にある病気でありながら後遺症は多岐に渡ります。脳梗塞による医療費は年間約2兆円、社会的損失は年間約8兆円と言われています。(参考:平成27年 高齢社会白書 内閣府調査)
また脳出血は癌、心疾患、肺炎に続いて死因の第4位を占める重大な病気です。
自分は若いから大丈夫と思っている方も多いのではないでしょうか。
実は脳卒中は10~40代の若い人でも発症します。
若年性脳卒中とは?
多くの人は「脳卒中は高齢者の病気」という認識を持っています。現に、60歳以上の発症数が多いのは確かです。しかし、最近の傾向として、40〜50歳代の働き盛りの人、ときには10〜20歳代の人にもみられます。
若年性脳卒中の原因は高血圧、糖尿病、高脂血症などの動脈硬化の危険因子だけではありません。先天的な血管異常、後天的に得た何らかの異常が原因と考えられる人が多いです。
以下に若年性の脳梗塞、脳出血、くも膜下出血について詳しく解説していきます。
若年性脳梗塞
動脈硬化による脳梗塞
若年者の動脈硬化は若い人に起こる脳梗塞の原因の20〜30%を占める。 ほとんどの人は35歳以上で、原因としては高血圧症が最も多く、ついで高脂血症、喫煙、糖尿病、肥満などがある。
心原性または動脈原性脳塞栓
心臓や心臓から脳に至る血管(左右の内頚動脈や椎骨動脈)の中でできた血栓(血液の塊)がはがれ、脳の血管まで流れていくことで脳梗塞を起こします。若年者に起こる脳梗塞の3分の1を占める。
「血栓が作られる原因」
心臓:心臓弁膜症などの先天性の心臓病や心房細動などの不整脈
心臓から脳に至る動脈:内頚動脈や椎骨動脈の奇形及び狭窄
脳動脈解離による脳梗塞
脳動脈解離によって脳動脈が狭窄し脳梗塞を起こす。
脳動脈解離は交通事故やスポーツなどによる首への外傷によって起きるが、最近ではカイロプラクティクスやヨガなどによる急激かつ過剰な首の回転や伸びによって引き起こされるケースも珍しくない。首の脇にある椎骨動脈は、骨の間を通るように埋まっており、過度に首を伸ばしたり、頭を回転させて骨を鳴らしたりすると動脈解離や瘤が生じる誘因になると考えられている。首をポキポキ鳴らしすぎるのは危険極まりない。
脳動脈解離とは、脳の動脈壁が裂けて離れた状態。血管の内側が裂けて詰まると脳梗塞に、血管が外側に裂けて瘤ができ、破裂するとくも膜下出血や脳出血というように、どのタイプの脳卒中にもなりうる原因である。
若年性脳出血
脳動静脈奇形(AVM)からの脳出血
脳の動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながることで拡張、蛇行した異常な血管の塊(nidus)が見られる先天性の脳血管異常。放置すれば脳出血や二次性のくも膜下出血を引き起こす危険な状態。小児から若年成人(特に男性)に多い。
通常は動脈と静脈の聞に毛細血管が存在するが、AVMでは動脈と静脈の聞の毛細血管が欠損し、血管の塊(nidus)を形成している。この奇形血管は血管抵抗が小さく、高い動脈圧がそのまま静脈にかかってしまうため出血しやすい。
脳動脈解離による脳出血
上述したように脳の動脈壁が外側に裂けて瘤ができ、破裂することで脳出血を起こす。
若年性くも膜下出血
くも膜下出血(SAH)は何らかの原因疾患によりクモ膜下腔に存在する脳表面の動脈が破綻することにより生じます。発症後の予後としては、3分の1は死亡、3分の1は重篤な後遺症が残る、3分の1は社会復帰が可能と言われているほどの重篤な病気です。
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脳動脈瘤の破裂
くも膜下出血の原因の80%以上を占める。40代女性に好発する。
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脳動静脈奇形(AVM)からの出血
脳動脈瘤の次に多く10%の割合を占める。20代〜40代の男性に好発する。
脳動脈解離による出血
上述したように脳の動脈壁が外側に裂けて瘤ができ、破裂することでくも膜下出血を起こす。
血管の異常を見破るには?
ここまでをまとめますと、
若くして脳卒中を発症する主な原因は以下のとおりです。
- 脳動静脈奇形(AVM)
- 脳動脈解離
- 脳動脈瘤
- 内頚動脈や椎骨動脈の奇形及び狭窄
※先天性の心臓病や心房細動が誘発する心原性脳塞栓症や動脈硬化による若年性脳梗塞については割愛させていただきます。
これらの動脈の奇形をいち早く発見するには
「脳ドック」
を受ければ良いのです。
脳ドックとは?
脳ドックでは主に下記の検査を行います。
- 頭部MRI検査:頭部を色々な角度から撮影することで無症候性の脳梗塞・脳出血・脳腫瘍の有無を調べる。現在の自身の脳の状態を知ることができる。
- 頭部MRA検査:脳動脈を撮影することで血管の奇形や狭窄、AVMによる血管の塊の有無、動脈瘤の有無や大きさの程度を調べる。
- 頸部MRA検査 or 頸動脈超音波(エコー)検査:頚動脈の動脈硬化の程度、頚部の血管狭窄、コレステロール・プラークの有無を調べる。
※この他にも血液検査や心電図検査、尿検査などを行うところもあります。
※頸動脈エコー検査は簡便ですが検査範囲が狭い(調べられる血管の領域が狭い)という欠点もあります。しっかり検査したい方は頸部MRA検査をおすすめします。
MRI検査は強力な磁力を用いるため、下記の項目に該当する方はMRI検査を受診することができない場合があります。
- 心臓ペースメーカー、除細動器、刺激電極などを身につけている方
- 体内に脳動脈瘤クリップや人工関節などの金属が埋め込まれている方
- 妊娠している方、あるいは妊娠が疑わしい方。
- 服用中の薬のある方は、かかりつけ医にご相談ください。
- アイシャドウ、カラーコンタクト着用、入れ墨をされている方
- 閉所恐怖症の方
費用は?
脳ドック単体の費用の相場は3〜4万円です。安いところでは2万円を切るところもありますが検査項目自体が少ない可能性があります。
脳ドックを受けるならば、頭部MRI、頭部MRA、頸部MRAの3つは確実に受けるべきです。その場合の費用はだいたい3万円を超えてきます。検査自体にかかる所要時間は2時間程度です。
保険はきく?
基本的には自由診療になるので全額自己負担になります。
しかし、加入している国民健康保険あるいは社会保険、生命保険などの民間保険の補助金を受けて費用の負担を減らせる場合があります。(助成が受けられるか否かは地域や保険ごとで異なるので各自で確認が必要)
- 国民健康保険:各市区町村の役所で補助金を申請する
- 社会保険:健康保険組合や健康保険協会の補助を利用する
- 生命保険などの民間保険:保険会社と提携する医療機関で割引サービスを利用する
(引用:https://dock.cocokarada.jp/magazine/dock/article_155/)
まとめ
今回は若年性脳卒中の詳細と脳ドックの必要性についてご紹介しました。
最近では若い世代の方が脳ドックを受けて未破裂の動脈瘤や血管の奇形が見つかるケースも増えています。早めにリスクを把握しておくことで予防ができます。脳卒中になってからでは遅いのです。
脳卒中に限った話ではないですが、何よりも予防が大事だからこそ「脳ドック」は全国民が受けてほしい検査と言っても過言ではありません。
【脳ドックで動脈瘤が見つかった!治療方針や手術の種類とリスクは?】
あのとき検査しとけばよかったと後悔する前に、半日でも良いので予定を空けて是非脳ドックを受けに行ってください。
僕が思っている事が書かれてる、ありがとうございます。
脳ドック必要ですね。
僕はAVMの脳出血で、今は1級ですが仕事しています。
今度再生医療を計画している大阪の富永病院に診察予定です。
リハビリと再生医療でどこまで良くなるかですね。
鈴木様
コメントありがとうございます。
身障1級でもしっかり就業されているのには敬服致しました。
富永紳介先生といえば脳外の名医で著名ですね!
再生医療も行なっているのですか?
良いご報告お待ちしております。