左被殻出血で右片麻痺と失語症に..
片麻痺と言語障害は治る?
被殻出血における失語症の予後は?
脳出血の中で最も多いとされるのが被殻出血です。
今回は左被殻出血について色々とまとめてみました。
左被殻出血の症状は?
代表的な症状は以下の3つです。
- 右片麻痺
- 失語症(運動性失語)
- 感覚障害
(失語症に関しては左半球が優位半球であった場合に出現します。基本的にほとんどの人が左半球が優位半球となります。)
右片麻痺は治る?
右片麻痺が重度だと日常生活に介助を要する可能性があるため、積極的なリハビリで日常生活動作の自立を図る必要があります。
▶︎【脳出血の治療】後遺症に対するリハビリの効果とは?
リハビリでは、
麻痺した手足の機能訓練や麻痺があるなりの動作方法の獲得が重要となります。
と言っても、
右片麻痺がどこまで治るのか、気になりますよね。
被殻出血における麻痺の程度は血腫量の大きさに左右されます。
正確には、
被殻で形成された血腫が「内包後脚」という部位にまで及んでいるかどうか。この「内包後脚」には運動を支配する神経が通っています。(下図の青く記した部位が内包後脚)
中等量の被殻出血でも内包後脚に血腫が及ばなければ麻痺は軽症かほとんど認めなかったりします。
発症直後に麻痺があったとしても、血腫の吸収や血腫周囲の脳浮腫の改善により内包後脚へのダメージが軽減すれば麻痺の回復を認めることがあります。
▶︎ 脳卒中の麻痺が効率的に回復しやすい期間は?その治療法とは?
被殻出血で言語障害?
被殻の周囲には、
言語領域で有名なブローカ野とウェルニッケ野を結ぶ弓状束という連合線維や投射線維があります。
被殻出血による血腫がこれらにまで及ぶと言語障害(失語症)が出現します。
▶︎ 失語症は治る?回復過程は?リハビリの方法は?
失語症の程度は、
この血腫の量と血腫が広がっていく方向(進展方向)によって様々です。
失語症の予後は?
失語症は、
発症後2週間の間に最も著明に改善し、およそ12ヶ月で急性期に認められた失語症状が40%は回復するとされています。
そのため、
発症1〜3ヶ月の間の言語聴覚リハビリテーションが非常に重要であり、発症早期における言語聴覚士(ST)の介入が推奨されています。
血腫量の少ない左被殻出血で早期に失語症を認めた場合、最終的には日常生活にほとんど支障のないレベルにまで改善するケースが多いです。
血腫量と予後の関係を以下に記します。
内包後脚に及ぶ血腫量が
- 8〜15mL:失語症がないか一過性
- 15〜35mL:失語症を認めるが予後は良好
- 35mL以上:予後不良
麻痺の重さも失語症の程度も、「血腫の大きさ」と「血腫が内包後脚に及んでいるか否か」が重要な判断材料と言えます。
以上、参考になれば幸いです。
でわ。