脳梗塞や脳出血の後遺症は

右脳と左脳で違う?

右脳と左脳の機能からそれぞれの後遺症の特徴についてご紹介します。



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左右の大脳半球

大脳は左右2つの半球に分かれています。

右脳左脳

それぞれの半球は主に身体の対側の運動、感覚を司ります。

例えば、
右脳の脳梗塞や脳出血の場合は
左側運動麻痺(左片麻痺)感覚障害が出現します。

左脳の脳梗塞や脳出血の場合は
右側運動麻痺(右片麻痺)感覚障害が出現します。

ここまでは右脳も左脳も後遺症は同じです。

右脳だから麻痺が重いとか
左脳だから感覚が悪いとか

そういうことは一切ありません。

優位半球と劣位半球(左脳と右脳の機能)

大脳半球の働きには左右差があります。

言語的・論理的思考や計算などの高次機能を司る側を優位半球その対側を劣位半球と言います。

基本的には左脳優位半球であることが多いです。
(右利きの人の90%、左利きの人の70%が左脳に優位半球がある)

左脳・右脳のおおまかな機能は以下の通り。

左脳(優位半球)の機能

  • 言語的思考
  • 計算

右脳(劣位半球)の機能

  • 空間的能力
  • 音楽的能力

左脳と右脳の後遺症の違いとは?

それぞれの半球が障害されて出現する代表的な高次脳機能障害は以下の通り。
※ 他にも高次脳機能障害はたくさんあります。左脳・右脳で特異的に出現するものを挙げました。

  • 左脳(優位半球):失語症、失行
  • 右脳(劣位半球)半側空間無視、地誌的障害、半側身体失認

上記の中でも特に失語症半側空間無視は日常生活に支障をきたす原因となります。

失語症とは?

  • 聴く、読む、話す、書く などの言語機能が失われた状態
  • 言葉の入力・出力ができない。
  • 言われたことがわからない。
  • 言いたいことが伝えられない。
  • 高次脳機能障害の中で認知症に次いで多く見られる後遺症

リハビリへの影響は?

失語症によってコミュニケーション能力が低下することで、リハビリの進行に支障をきたします。

大まかな動作の指示は理解できても細かな指示が理解できなくなります。麻痺側上下肢の機能訓練(川平法など)は複雑で緻密な指示が多いため、失語症のある方は麻痺の回復にも影響を受けます。最終的に社会復帰が困難となるケースも多いです。

ただ、
中には認知機能が保たれており、ジェスチャーや状況判断でパートナーの意図を汲み取り業務をこなす方もいます。そのような方は直接顧客と接する部署を避ければ職場復帰は可能となります。職場の配慮が大前提ですが…

失語症って治るのでしょうか?気になる方はこちらの記事も読んでみて下さい。
【 脳梗塞後遺症の失語症は治る?回復過程は?リハビリの方法は?】
「失語症は完治しない」とも言われていますが、言語機能は片麻痺に比べて回復に時間がかかります。障害が残った場合は年単位で根気強くリハビリを継続することが必要です。

半側空間無視とは?

  • すべての視野が目に入っているにも関わらず、意識して注意を向けない限り、左側の物体に気づかない。
  • 食事の際にお皿の左半分を残したり、歩いている時に左側の物体にぶつかったりする。
  • 基本的に左側を無視してしまう。
  • 右脳(劣位半球)を障害した患者の約4割に出現する。

※ 稀に優位半球と劣位半球が逆転している人もいます (左利きの人が多い) この場合は、左脳の障害で右片麻痺と右半側空間無視が出現します。

これは不思議な後遺症ですよね。

「見えているはずなのに気づかない」

視覚障害があるわけではないのに、どうして?って思いますよね。

リハビリへの影響は?

半側空間無視があると麻痺側への注意が向きにくくなります。麻痺した手足に注意が向きにくいため川平法のように集中的かつ反復する運動は困難となります。半側空間無視の症状が重ければ日常生活すべてに介助が必要となります。認知機能が保たれており、症状も軽度であれば環境設定などで日常生活の自立は可能となることも…

ただ、
半側空間無視が軽度であっても車の運転は控えるべきです。

左側に注意が向かなければ左の障害物にぶつかったり、歩行者をはねてしまう可能性が非常に高く、危険極まりないです。どうしても運転したい場合は適性検査を受ける必要があります。以下の記事を参考にしてみて下さい。
【脳梗塞後でも医師の診断書で車を運転できる?適性検査とは?】
脳卒中後の運転再開までの手順は、「1.運転するためには医師の許可が必要。2.免許センターで臨時適性検査を受ける。3.合格したら運転再開。」以外とあっさりした手順となっています。実際に検査をパスした人でさえも高次脳機能障害の影響で事故をするケースはあると聞きます。

まとめ

  • 右脳の障害でも左脳の障害でも、片麻痺や感覚障害の重症度に違いはない。
  • 左脳の障害では失語症になりやすい。
  • 右脳の障害では左半側空間無視になりやすい。

右脳であっても左脳であっても運動麻痺や感覚障害の程度に違いはありませんが、高次脳機能障害には特異性があることがわかりました。

そして
その特異的な高次脳機能障害である失語症や半側空間無視はリハビリの進行だけでなく、社会復帰にも支障をきたすため注意が必要です。

特に半側空間無視は日常生活の自立を妨げるのでかなり厄介です。発症早期に症状が見られても、徐々に軽快していくケースもあるので注意深く経過観察していきましょう。

以上、参考になれば幸いです。

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