脳梗塞患者は退院後にどんなリハビリが受けられる?

医療保険、介護保険、自費で受けられるリハビリの種類や費用についてまとめてみました。

病院を退院してこれからリハビリをどうしようか考えている方は参考にしてみて下さい。



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脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)を発症した方へ。

回復期リハビリ病院を退院したけど、後遺症に対するリハビリをまだまだ継続したいと思ってませんか?

自宅退院後も脳卒中リハビリを継続したい場合、以下のような点が気になるのではないでしょうか?

  • どんな種類のリハビリがあるのか?
  • 費用はいくらか?
  • リハビリ頻度に制限はあるのか?

今回はこれらの疑問を解決していきます。

 

退院後に受けられるリハビリは?

大きく分けて3つの体型に分かれます。

  • 医療保険下の外来リハビリ
  • 介護保険下の通所リハビリ、訪問リハビリ
  • 自費の通所リハビリ、訪問リハビリ

順に解説していきます。

医療保険下の外来リハビリ

病院リハビリ

病院で脳血管リハビリテーション料1〜3の外来リハビリが受けられます。1〜3のリハビリ料は病院の規模によって異なりますが、設備の充実した脳血管リハビリテーション料1を算定している病院で外来リハビリを受けた方が質の高いリハビリを受けられる可能性が高いです。

費用

脳血管リハビリテーション料1の場合

1単位20分:245点(1点=10円)

40分4900円
1割負担:490円 3割負担:1470円

60分7350円
1割負担:735円 3割負担:2205円

リハビリ頻度の制限について

発症から180日以内であれば1日最大で6単位120分の外来リハビリを受けることができます。頻度に制限はありません。病院との交渉次第では週3〜5回でも外来リハビリを受けることができます。

逆に発症から180日を超えてしまったら月13単位までという厳しい制限が課せられます。具体的には週1回60分のリハビリをするだけで計12単位となりほぼ上限となってしまいます。

「治療継続により状態の改善が期待できると医学的に判断される」場合は発症から180日を超えても月13単位の制限なくリハビリが可能となります。担当のリハビリ医師にご相談ください。

発症から180日を超えた要介護被保険者は要注意!

発症から180日を超えた要介護被保険者は維持期リハビリとみなされます。点数も減算扱いとなります。

1単位20分:147点(1点=10円)

【40分2940円】
1割負担:294円 3割負担:882円

【60分4410円】
1割負担:441円 3割負担:1323円

要介護被保険者とは?
要介護または要支援認定を受け、要介護状態区分のいずれかに該当するとされた被保険者のこと。

要介護・要支援被保険者に対する維持期・生活期の疾患別リハビリテーション料について、介護保険への移行に係る経過措置を1年間に限り延長し、入院以外の患者については平成31年4月以降、要介護被保険者等に対する疾患別リハビリテーション料の算定を認めない取扱いとする(入院患者の場合は13単位リハビリは継続となる)

要するに、
今まで医療保険で脳血管リハビリテーションの外来リハビリを受けていた要介護被保険者は平成31年4月から介護保険のリハビリに移行しなければならないのです。減算して費用は安くすみますが、リハビリの頻度は少ないですし、じきに介護保険リハビリに移行しなければならないのは面倒ですよね…

では、次は介護保険で受けられるリハビリをご紹介します。

介護保険下のリハビリ

集団体操通所リハ

通所リハビリと訪問リハビリの2つに分かれます。

通所リハビリテーション(デイケア)

通所リハビリは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、利用者が通所リハビリの施設(老人保健施設、病院、診療所など)に通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。(引用:厚生労働省https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group8.html

一般的には通所リハビリの約半数が介護老人保健施設にて行われています。

通所リハビリテーションは事業所の規模や所要時間、介護度によって費用が設定されています。通所リハビリ単体の料金設定はありません。あくまで施設利用料を払い、時期によっては短期集中リハビリテーション加算の費用を負担します。

通所リハビリ料金表

※ 送迎費も上記に含まれています。日常生活費(食費・おむつ代など)は、別途負担となります。
※ 一定以上所得者の場合は2割又は3割負担となります。

上記料金は施設の規模、利用時間によって増減します。また、要支援の場合は月額費用となっており、利用頻度に上限があります(要支援1は週1回月4回まで、要支援2は週2回月8回まで)

短期集中リハビリテーション加算とは?
退院日または要介護・要支援の認定日から3ヶ月間は短期集中リハビリテーション加算の対象となり、デイケアにて1回40分以上の個別リハビリを週2回以上受けることができます。要支援から要介護へ変更となった場合も短期集中リハビリ加算の対象となります。

費用

短期集中リハビリ加算の期間中は1日利用するごとに上記の表の施設利用料金に240単位(1単位=10円)ずつ加算されていきます。

例)
要介護2 週3回の頻度で個別リハビリを受けた場合の月額費用(1割負担)
1週間:(797円+240円)×3=3111円
4週間:3111円×4=12444円

これにリハビリマネジメント加算の月額費用200円や食費、おむつ代などの別途費用が加算されます。

3ヶ月以降は?

退院日または要介護・要支援の認定日から3ヶ月以上経過した場合は、デイケア利用頻度に準じて集団または20分の個別リハビリが受けられます。個別リハビリ以外で運動したい方は、マシンを使ったパワーリハビリを自主訓練として受けられる場合もあります。ただ、集団体操のみで20分の個別リハビリを提供していないところもあるので要注意です。

リハビリ特化型デイサービスでのリハビリ

リハビリ特化型デイサービス

リハビリ特化型(機能訓練特化型)デイサービスとは、介護保険制度上は通所介護(デイサービス)施設に分類される介護施設です。通所介護(デイサービス)の中でも、機能訓練や身体介護に重点を置いているリハビリ特化型(機能訓練特化型)デイサービスは、午前・午後のように半日単位での利用が多く、食事や入浴介助がないことが多いのが特長です。(引用:安心介護 https://ansinkaigo.jp/knowledge/6722)

リハビリ特化型デイ料金表

※ 送迎費も上記に含まれています。日常生活費(食費・おむつ代など)は、別途負担となります。
※ 一定以上所得者の場合は2割又は3割負担となります。

上記料金はあくまで目安となります。施設の規模、利用時間(一般的な利用時間は3〜5時間によって増減します。また、要支援の場合は月額費用となっており、利用頻度に上限があります(要支援1は週1回月4回まで、要支援2は週2回月8回まで)

費用

例)
要介護2 週3回の頻度でリハビリ特化型デイサービスを利用した場合の月額費用(1割負担)
1週間:(456円+48円)×3=1512円
4週間:1512円×4=6048円

通所リハビリとリハビリ特化型デイサービスの違い

通所リハビリ

  • リハ職の設置が必須
  • リハビリは個別リハビリ
  • 医師の配置が必須

リハビリ特化型デイサービス

  • リハ職の配置は任意
  • リハビリは集団リハビリ
  • 医師の配置は必要なし

リハビリ特化型デイサービスのメリット・デメリット

メリット

  • 短時間でリハビリだけに集中できる
  • 提供時間が短い分、利用金額も安く抑えられる

デメリット

  • 食事や入浴介助が受けられない場合がある
  • 事業所によって提供しているリハビリメニューに差がある

リハビリ特化型と言ってもセラピストがいない場合もあるので要注意です。麻痺側の機能訓練を受けたいと思っている方には向きません。比較的麻痺が軽度でマシンを使ったパワーリハビリが有効に使用できる方にはオススメです。滞在時間も短く、低料金でトレーニングだけを集中的に行えるので効率的です。

訪問リハビリテーション

自宅にセラピストが訪問し、機能訓練や家屋環境に合わせた動作練習、家屋環境の見直しや福祉用具の検討など様々なリハビリが受けられます。身体機能的に外に出れない、もしくは出たくない人にとっては重宝されます。

費用

20分290単位(1単位=10円)

1週間で計120分までリハビリができます。介護度によって料金は変わりません。

1回40分 週3回の場合の月額費用(1割負担)

580(290×2)×3×4=6960円

リハビリマネジメント加算や社会参加支援加算、常勤医師絡みの減算などで多少の増減はありますが、料金はおおむね上記のとおりです。その他のサービスも合わせて各介護認定の利用限度額以内であれば1〜3割負担で訪問リハビリを利用できます。

訪問リハビリも短期集中リハビリテーション加算あり!
退院日または要介護・要支援の認定日から3ヶ月間は短期集中リハビリテーション加算の対象となります。1回の利用料に200単位を加算します。先ほどの頻度で月額費用を算出すると…

1回40分 週3回の場合の月額費用(1割負担)

(580+200)×3×4=9360円

※ 訪問看護ステーションからの訪問リハビリもありますが、料金自体に大差はありませんので割愛します。

最後に自費で受けられるリハビリをご紹介します。

自費のリハビリ

自費リハビリ

リハビリ難民の救世主となり得る自費リハビリ。最近その数は増えつつあります。京都新聞では自費リハビリについて以下のように紹介されていました。

医療保険や介護保険で受けられるリハビリに満足できない脳卒中患者向けに、保険外で全額自費のリハビリを提供する事業者が増えている。保険では回数や時間が制限され、「仕事や自立した生活に復帰したい」との希望に応え切れていないためだ。ただ、高額になるため経済力に左右されるのが難点。また医師の明確な指示がないため、リスク管理が必要な患者は注意が必要だ。(引用一部改変:平成30年9月18日 京都新聞)

自費リハビリでは回数制限なく、質の高い脳卒中リハビリが集中的に行えるため「もっと良くなりたい」という脳卒中患者のニーズを叶えてくれます。

自費リハビリの利用者の声
「良くなりたい気持ちが強かったので、費用がかかってもやりたかった。保険外でもこういう選択肢があることを、病院や介護施設は教えてほしい」

自費リハビリにも通所と訪問の2つのタイプがあります。

通所の自費リハビリ

一般的にはリハビリセンターと呼ばれるもので、トレーニングルームに通ってリハビリを受けます。病院顔負けの設備が揃うところもあり、回復期病院のリハビリと比べても全く遜色のない脳卒中リハビリを受けることができます。むしろ自費の世界で勝負するセラピストですから、名実ともに申し分ない脳卒中リハのスペシャリストが集う場所であることは間違いないでしょう。リハビリと鍼灸を併用することで病院では実現できないハイブリットな脳卒中リハビリを提供しているところもあります。

代表例を以下に挙げました。

  1. 脳梗塞リハビリセンター
    60日分 全16回(1回120分)275000円
  2. 脳梗塞リハビリBOT静岡
    60日分 全16回(1回90分)275000円
  3. TACリハビリセンター
    60日分 全14回(1回60分)140000円

1時間あたりの相場は8000円〜10000円のところが多いですね。2ヶ月間などのパック料金がお得です。

訪問の自費リハビリ

NAVERまとめでも自費訪問リハビリの事業所が紹介されていました。介護保険の訪問リハビリよりも高頻度でリハビリを受けることができます。リハビリの内容に違いがあるかは不明ですが、やはり自費の世界で勝負するセラピストですから脳卒中リハのスペシャリストであることは間違いないでしょう。

代表例を以下に挙げました。

  1. ASSIST
    15分700円〜

    別途交通費500円〜
  2. EPoch
    15分750円〜

    別途交通費については要確認
  3. Kasugai
    15分850円〜

    別途交通費については要確認
  4. ARROW
    60分7000〜8000円

    別途交通費500円〜
  5. フィジオジャパン
    50分8000円
    別途交通費については要確認

地域によっては1時間あたり3000円(交通費別)と比較的安価なところもありますが、関東では1時間7000〜8000円が相場となります。同じ自費リハビリでも訪問の方が通所より安い傾向にあります。

3つを比較して結局何がオススメなの?

脳梗塞リハビリ費用

費用面で比較して料金の安い順で並べるとこのようになります。

「リハビリ特化型デイ(介護)<外来リハビリ(医療)<通所リハビリ(介護)<訪問リハビリ(介護)<訪問リハビリ(自費)<通所リハビリ(自費)」※ 医療−介護間では介護度、負担割合によって順位が変動するため、あくまで目安となります。

ただ、
脳卒中患者自身の「発症後期間、年齢、収入(負担割合)、介護度、麻痺の程度」など色々な要因でオススメできるリハビリは変わってきます。

脳卒中発症後180日以内でかつ要介護被保険者でない場合は、退院した回復期リハビリ病院(医療保険下)で外来リハビリを継続した方が良いでしょう。金銭的に余裕があれば空いた曜日で自費リハビリを行うとより効果的です。

要介護被保険者であれば平成31年4月以降は医療保険でのリハビリは受けられなくなります。そこで金銭的に余裕があれば自費リハビリ、余裕がなければ介護保険下でのリハビリとなります。

介護保険下のリハビリでは頻度も質も懸念があります。通所リハビリやリハビリ特化型デイではマンツーマンのリハビリに限りがあるため、集中的な脳卒中リハビリで結果を出したいと思っている人には物足りないでしょう。それよりも訪問リハビリの方が週120分までという制限はあるものの完全マンツーマンでリハビリが受けられます。自宅ではマシンなどの設備が用意できませんが麻痺側への徒手的アプローチは環境も場所も選びません。介護保険下で集中的にリハビリを頑張りたいなら訪問リハビリはオススメです。空いた曜日を自費リハビリもしくは通所リハビリやリハビリ特化型デイで補填するのも良いでしょう(利用限度額内に収まるかは要確認)

まとめ

長文となってしまいました…

今回は自宅退院後に選択できるリハビリの種類とその費用・頻度・質について詳しくご紹介しました。

今後は医療保険でのリハビリに制限がかかってきます。急性期病院や回復期リハビリ病院の在院日数は短縮化され、日常生活に支障がないレベルにまで回復したら退院させられるでしょう。

「麻痺をもう少し良くしたいからもっと入院リハビリさせて!」

と言っても受け入れてもらえないでしょう。そして、懇願の甲斐なく介護保険下のリハビリにシフトしていくことになります。

やる気があってまだまだ伸び盛りの脳卒中患者が介護保険下のリハビリに満足しないケースはよくあります。そんなときの選択肢として自費リハビリが存在するのです。自費の世界で勝負しているだけあって腕に自信のあるセラピストが集っています。きっと満足いただけると思いますよ。

金銭的に余裕のある方は「ご自身の身体、ご自身の人生に投資をする」つもりで自費リハビリに挑戦してみてはいかがでしょうか?