脳梗塞で意識不明の重体!?不整脈がある人は要注意!
とても危険な心原性脳梗塞の予後や余命は?
意識が回復する見込みや回復までにかかる期間は?
目次
脳梗塞で意識不明になる原因は?
脳梗塞には主に3つの種類があります。
この中で最も重症化しやすいのが
心原性脳梗塞(心原性脳塞栓症)です。
心原性脳梗塞とは?
心臓で作られた血栓(血の塊)が血流に乗って脳の血管を詰まらせる病気。
脳梗塞のサイズ(梗塞巣)は大きく、意識障害をきたすなど重症化しやすいのが特徴です。脳梗塞全体の約30%を占め、発症率は近年増加傾向にあります。
おおまかな特徴は以下のとおりです。
- 心疾患を合併している患者が発症しやすい。
- 大きな血の塊が太い血管を急激に詰まらせるため、突発的に発症する。
- 短時間で症状が完成する。
- 広範囲な梗塞巣となり、意識障害など重篤な症状を呈する。
急激に発症して意識不明となる可能性が高いため、非常に怖い病気です..
何と言っても
この梗塞巣の大きさ。
(白い部分が梗塞部位です)
心原性脳梗塞では太い血管が詰まってしまうためこれぐらい大きな梗塞巣ができる可能性が高いです。
心原性脳梗塞の原因
心原性脳梗塞患者の約8割は心房細動を有しています。
心房細動を有する人が脳梗塞を発症する確率は年間5%と高く、以下の要素が加わると発症率は倍増します。
- 高齢
- 高血圧
- 糖尿病
- すでに脳卒中を起こしたことがある
- 心筋梗塞、心不全などの病気がある
心原性脳梗塞の臨床症状
突然血流が途絶えるため、突然発症し短時間で以下の症状が完成します。
- 重度の運動麻痺(片麻痺または両麻痺)
- 重度の感覚障害
- 失語や半側空間無視などの高次脳機能障害
- 半盲
- 共同偏視
心原性脳梗塞の治療
- 発症4.5時間以内の超急性期には血栓溶解療法(rt-PA静注療法)
- さらに6時間以内では血管内治療
- それに続く急性期には脳浮腫と心内血栓による塞栓再発予防治療が行われます。
【脳梗塞は早期治療が超重要!後遺症を残さないで治るために】
梗塞巣が大きいとどうなる?
先ほどの画像のような
大きい脳梗塞になるとなぜ意識障害をきたすのでしょうか?
意識障害が生じる流れは以下のとおり。
- 広範な梗塞巣周囲に脳浮腫が出現する。
- 脳浮腫によって頭蓋骨内で全体的に脳が腫れた状態となる。
(頭蓋内圧亢進症) - 脳全体が腫れることで脳幹が圧迫され、意識障害をきたす。
(脳ヘルニア)
脳ヘルニアとは?
硬膜で仕切られたコンパートメントにおさまっている脳が血腫などの占拠性病変や部分的な脳浮腫によって本来の位置から押し出される状態を脳ヘルニアという。押し出されることによって陥入組織だけでなく陥入した先の組織まで圧迫・変形するため、様々な神経症状をきたす。(引用:病気が見える脳・神経)
脳幹は延髄、橋、中脳、間脳(視床、視床下部)から構成され、生命維持に必要な機能を司っています(下図)
脳ヘルニアによって脳幹が圧迫されて意識障害をきたします。
意識が回復する見込みは?
意識が回復する確率は
正直わかりません。
特に
発症早期の段階では脳浮腫の影響を受けているので何とも言えないのです。
ただ、
下記の要因が強く影響してきます。
- 梗塞巣の大きさ
- 脳浮腫の程度
- 発症から治療までにかかった時間
- 年齢
- 出血性梗塞の有無
高齢患者で梗塞巣が大きく、脳浮腫が強い場合は梗塞部位で出血を起こす可能性もあります。出血性梗塞を合併した場合、予後はかなり悪くなります。
出血性梗塞とは?
脳梗塞によって虚血性変化を起こした血管は脆くて破れやすい。その状態で血栓が溶けて再開通し、血液が流れ出すと梗塞部位で脳出血を起こすことがある。これを出血性梗塞という。発症後数日以内に出現しやすく、血腫を形成して脳浮腫や脳ヘルニアの増悪を起こすと症状がさらに悪化することがある。(引用:病気が見える脳・神経)
意識回復までにかかる期間は?
脳梗塞発症後の脳浮腫は1〜2週間でピークとなります。
そして
個人差もありますが、脳浮腫が完全に消失するには数ヶ月はかかると言われています。
脳浮腫が完全に消失するまで根気強く待つしかないのです。
少なくとも1ヶ月は様子を見る必要があります。
意識が回復したら..
意識が回復したら積極的に離床を図り、廃用改善(全身の筋力・体力を取り戻す)に努めます。
意識が戻らない状態でもリハビリによる拘縮予防や褥瘡予防など全身状態の管理はとても重要です。
【脳梗塞後遺症のリハビリ内容と方法は?家族は何ができる?】
意識が回復しない場合の余命は?
意識不明の植物状態になった場合の
一般的な平均余命は約3年間と言われています(最長で10年間生存したケースもあります)
心原性脳梗塞発症時の死亡率は約2割(その他の4割は重度の後遺症により寝たきりや歩行に介助が必要となる)、
1年生存率は約50%です(ラクナ梗塞は90%以上、アテローム血栓性脳梗塞は約80%)
その他の脳梗塞と比べると明らかに予後不良です。
そして、5年生存率は約25%にまで下降します。
余命に関わる因子は以下のとおり。
- 年齢
- 栄養状態(胃瘻造設など)
- 脳出血や脳梗塞の再発
- 誤嚥性肺炎の併発
- 尿路感染の併発
- 褥瘡(床ずれ)からの感染
全身状態の管理が徹底できていれば平均余命3年は生存可能と言われています。
年齢が若く初発の場合は
心原性脳梗塞を発症したとしても、すぐに医師から「余命宣告」されることはないと思います。状態管理もしやすく再発のリスクも低いので意識回復への期待は高まります。
最後に
「長期にわたって遷延していた意識障害が改善した」
という奇跡のような事例が過去にいくつも報告されています。
ご家族が話しかけたり、
患者本人の好きな音楽や興味のあったものに関連する音など
様々な聴覚刺激が脳を賦活させるきっかけになるかもしれません。
容易ではないですが
諦めないこと
これがとても大事だと思います。
あなたの大切な人の意識が少しでも早く回復しますように。
気になる再生医療のお話はこちら
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66才の男性身内で脳梗塞で95才から100才の脳で血栓でMRI は頭は真っ白です
オムツはして年 今は何月も分かりません。2月に舌癌すてーじ4で首に転移していて手術して癌は今は大丈夫ですが、脳梗塞がろれつが回らなく、脳梗塞は2度目で手足がマヒがあり御風呂もめまいがあり一人は恐い様で、一人暮しです
よろしくお願いいたします。看病をしています
小柳様
コメントありがとうございます。
返信が遅くなり申し訳ありませんでした。
在宅介護もなかなか大変かと思います。
介護保険の認定がおりているのであれば介護サービスの利用で看病の負担は減らせるかと思います。
脳梗塞も再発されてますので、今後も再発防止に努める必要があります。
お身体ご自愛くださいませ。