くも膜下出血の合併症

水頭症の症状とは?

シャント手術後の予後は?



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くも膜下出血(SAH)の

3大合併症には以下のものがあります。

  1. 再出血:発症から24時間以内が多く死亡率が高い
  2. 脳血管攣縮:発症から72時間後〜2週間後(ピークは8〜10日)
  3. 正常圧水頭症:発症から数週〜数ヶ月後

くも膜下出血発症後はこれらの合併症を予防することが非常に重要となります。

今回は、SAHの慢性期に出現する代表的な合併症である

「正常圧水頭症」

について、予後も交えて詳しく説明していきます。

 

 

正常圧水頭症とは?

SAH水頭症

髄液がくも膜下腔に過剰に貯留した状態水頭症と言います。

くも膜下出血を発症するとくも膜下腔にて髄液通過障害が生じます。

それにより以下の病態が出現します。

  • 脳室の拡大
  • 頭蓋内圧亢進
  • 脳実質の圧迫

水頭症図説

(出典:http://www.afinitor.jp/tsc/patient/patient01.html)

正常圧ってどういうこと?

って思う方もいるかもしれません。何が正常なのか?

それは

クモ膜下腔内を流れる髄液の圧が正常範囲にあることを示します。(正常値は180mmH2O以下)

 

下の図を見てください。
正常の脳と比べると脳室(側脳室、第3脳室)が大きくなっているのがわかります。

水頭症画像

(出典:http://www.bbraun.jp/cps/rde/xchg/cw-bbraun-ja-jp/hs.xsl/7563.html)

 

水頭症の症状は?

三徴として

  • 歩行障害
  • 認知症(精神活動の低下)
  • 尿失禁

があります。

水頭症では、脳室拡大が慢性的に持続することで脳(特に前頭葉)の機能が次第に障害されてしまいます。それにより上記の三徴に代表される多彩な神経症状が現れ、ゆっくり進行していきます。

三徴の中では
歩行障害が最初に現れることが多く、出現頻度も高いです。

すり足、すくみ足などが目立ち、つまずいて転倒するリスクが高くなります。

 

 

シャント手術とその予後とは?

シャント手術

くも膜下出血後の正常圧水頭症の治療には外科的治療が主体であり、シャント手術が最も一般的に行われています。(一時的な処置としては脳室ドレナージなどがありますが今回は割愛)

髄液腔(脳室やくも膜下腔)と頭蓋外の体腔(腹腔や心房など)を短絡管(シリコンチューブ)でつなぐことによって、過剰に貯留した髄液を持続的に頭蓋外へ排出することができます。

下の図のように体内にチューブを埋め込み、脳からお腹の空間へ溜まった髄液を流していきます。

 

水頭症シャント

(出典:松前光紀著「脳腫瘍の理解」クリニカルスタディvol.29)

シャント手術は簡便で確実な治療法ですが、感染や閉塞などの合併症も少なくありません。

ただ

治療効果は抜群です。

くも膜下出血後の水頭症によって引き起こされる認知症はシャント術後に劇的に良くなることが多く、「治療可能な認知症」とも呼ばれています。

改善の度合いとしては歩行障害が最も顕著であり、尿失禁は認知症の改善に伴って認められなくなります。

シャント術後の予後は良好です。

 

以上、参考になれば幸いです。

でわ。

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