ストレス社会で生きる私たちは脳出血のリスクが高い?
脳出血とストレスの関係についてまとめてみました。
あなたはストレス溜まってませんか?
現代社会でストレスはつきもの
終戦以降、科学技術の目紛しい発展に伴い、我が国は経済的に豊かになりました。何不自由ない便利で快適な生活を過ごす反面、現代人はストレス社会での生き残りを余儀なくされています。
内閣府(2008)の国民生活白書によれば、「あなたは日頃ストレスを感じますか」という質問について、「ストレスを感じる」と回答した人の割合が57.5%と過半数を占め、多くの人がストレスにさらされながら生活していると報告している。(引用元:http://www.dwc.doshisha.ac.jp/faculty_column/cat268/2016/post-250.html)
ストレスによって引き起こされる症状は以下の通りです。
心理的症状
- イライラしたり感情的になる、精神的に不安定になる
- 漠然とした不安感、気分が落ち込む、憂鬱になる
- 注意力、集中力の低下、無気力になる
- 新しいことに消極的になる
身体的症状
- 偏頭痛、腹痛、胃もたれ、便秘、下痢
- 肩こり、腰痛
- 動悸、めまい
- 手が震える
- 生理不順
- 倦怠感、疲れやすい、疲れがとれない
- 寝つきが悪い、寝覚めが悪い、夜中に目を覚ます、朝起きることができない
- 食欲不振
行動的症状
- すぐにぼんやりとしてしまう
- 笑う回数が減る
- ネットニュースなどをだらだらと見続けてしまう
- 遅刻や早退が増える
- ギャンブルやお酒に走る
- 言動が乱暴になる
- 喋り方など様々な行動が早くなる
- 仕事でミスを多発する
- 外出を面倒に感じてひきこもりがちになる
このように精神的にも身体的にも無理をした状態が続くと「生活習慣に歪み」が生じます。例えば、「ギリギリまで寝ていたいから朝食を食べない」「外食、間食が多くなる」「昼夜逆転する」「過度な飲酒、喫煙」などなど。
ストレスによって生じた生活習慣の歪みが生活習慣病を引き起こすのです。
脳卒中とストレスの関係
生活習慣病に総称される脳卒中は中高年で発症率が高く、その中高年がストレスを感じるであろう最たる場所は「職場」になります。
中国・南方医科大学のユリ・ヒュアン氏らの研究によれば、
「ストレスの多い仕事に就いている人は、そうでない人に比べ、脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)を発症するリスクが22%高くなり、脳梗塞に限っては発症リスクが58%も上昇する」とのこと。
仕事のストレスが、偏った食習慣や過度な飲酒・喫煙を助長し、健康的な生活リズムを阻害します。プライベートの時間が確保できず、運動不足に陥ったり、定期的な近医受診の機会も損なってしまうことも…
その結果、高血圧や高コレステロール、高血糖などに拍車がかかり、動脈硬化の進行によって心疾患や脳血管疾患(脳卒中)のリスクが高まってしまいます。
さて、脳梗塞に関してはストレスによる生活習慣の悪化が原因となることが分かりました。ストレスの少ない仕事に就いている人と比べて58%も発症リスクが高いなんて…
では、脳出血単体はストレスとどのような因果関係にあるのでしょうか。脳出血に関しては具体的に報告はありませんが、脳梗塞とも原因は類似するので次項で詳しく説明していきます。
脳出血とストレスの関係
脳出血とストレスの関係を知る前に、まず脳出血の原因について説明します。
脳出血の最大の原因は
「高血圧」と「動脈硬化」です。
もう少し詳しく言えば
高血圧によって動脈硬化が進行し、血管が破れてしまいます。
(高コレステロールや高血糖によっても動脈硬化は進行しますが、その後は脳出血よりも脳梗塞を発症する確率の方が高いです。よって直接的に脳出血と因果関係があるのは高血圧と高血圧によって進行した動脈硬化になります。)
では「高血圧」と「動脈硬化」はストレスとどのように関係するのでしょうか?
これもやはり仕事のストレスなどで誘発される「生活習慣の歪み」が影響します(下記参照)
- 偏った食習慣による塩分過剰摂取(外食、間食、朝食抜き)
- 過度な飲酒(塩分過多なつまみの日常的摂取)
- 飲酒とともに過度な喫煙(血管収縮作用による高血圧や動脈硬化を進行)
- 近医受診の機会を損なう(定期的に血圧の管理ができない)
- 時間に余裕がないので運動不足になる
これらが原因となり高血圧と動脈硬化は進行していきます。
では、生活習慣に影響を与えるほどのストレスを感じる仕事って一体どんな仕事なのでしょうか?
ストレスの多い職業
一般的に「要求度が高く、裁量度の低い仕事」はストレスが溜まりやすいと言えます。
(参考:カラセックの仕事の要求度―コントロールモデル)
要求度が高い
厳しいノルマがあり、常に「時間内に目標達成しなければ」とプレッシャーを感じている。
裁量度が低い
ルーチンワークが決められており、自分の意思とは関係なく業務内容の自由度が低いため、やりがいを感じない。
その代表格として「営業職」「販売業」などのサービス業従事者や「看護師」「介護士」などの専門職があります。(「医師」も人命を扱う仕事なので要求度は高くストレスを感じることも多いですが、収入面に優遇され、裁量度も高いのでストレスを感じていない人も多い)
他には「コールセンターのオペレーター」「IT・プログラマー」などもノルマが厳しくブラック企業が多いので高ストレスになりやすい傾向にあります。
心身ともに蝕まれて、挙げ句の果てに脳卒中を発症するリスクも高くなるなんて…考えただけでも地獄ですよね。
これに対し、中国・南方医科大学のユリ・ヒュアン氏は「効果的な生活習慣改善を指導するとともに、仕事の裁量と自由度を増やすよう調整し、ストレスレベルを下げる介入が必要となるでしょう」と指摘しています。
【高血圧対策は以下の記事を参考にして下さい】
仕事のストレスから解放されるには
カテゴリー分けする
まずは仕事でストレスと感じている事象をカテゴリー分けしてみましょう。
対人関係なのか、業務の内容なのか、業務の量なのか、時間的制約なのか。
一旦整理をします。
漠然とただストレスを感じている自覚はあるが、そのストレスとなる原因が曖昧だと余計に不安でストレスを感じてしまいます。大まかな分け方でもカテゴリー分けしてみるだけで気持ちは少し落ち着きます。
誰かに相談する
そして同僚や友人、家族など相談しやすい人に助けを求める。同僚でさえも頼りにくいほどの劣悪な職場環境だとお手上げですよね…でも直接的に仕事と関係のない友人や家族でも聞いてもらうだけでも少し心は晴れるはず。
ストレスをどう捉えるか
根本的に「業務の内容、量は変えられない」ことが多いので、やはりストレス事象をどう捉えるかにかかってきます。いわゆるポジティブシンキング。「自分の過ごす人生でこのストレスは今後きっとプラスに働くであろう」と前向きに捉えること。というか自己暗示ですね。ただ、誰もがポジティブシンキングになれるわけではありません。前向きに捉え続けるにも限界はあるはず…
思い切って転職する
根本的に職場環境を変えないとどうにもならないケースは必ずあります。部署移動が可能なら上司に相談する、それが叶わないなら転職も視野に入れるべきかと思います。
まとめ
- 仕事のストレスは生活習慣を悪化させる。
- 生活習慣の悪化は高血圧と動脈硬化を進行させ、脳出血の発症リスクを高める。
- 営業職や販売業、看護士、介護士は高ストレスのため要注意。
今回は脳出血とストレスの関係について述べました。
この記事を読んでいるあなたは大丈夫ですか?
気になる方はこちらでストレスチェックを。
【厚生労働省の5分でできる職場のストレスセルフチェック】
アンケート結果をもとに「ストレスの原因因子」「ストレスによる心身反応」「ストレス反応への影響因子」について詳しく解説してくれます。ストレスケアについてのアドバイスもしてくれるので参考までに。