脳出血や脳梗塞の後遺症で
生じる嚥下障害って知ってます?
これってかなり危険な後遺症なんです…
嚥下障害とは?
「嚥下」とは、
食べ物や飲み物を食べたり飲んだりすることです。
厳密には、
食べ物を食べ物だと認識して口に取り込み、飲み込んで胃に運ぶまでの過程を示します。
脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血を含む)により、その過程のどこかが障害されることにより嚥下障害は生じます。
急性期の脳卒中患者の約30%に認められる障害です。
3人に1人はけっこうな割合ですよね。
嚥下障害の原因は?
脳卒中になると手足に麻痺が生じます。これを片麻痺と言います。
そして、
麻痺は手足だけでなく食べ物を飲み込む筋肉にも生じます。(主に喉の筋肉に麻痺が生じると嚥下障害を合併します。)
嚥下障害はなぜ危険?
嚥下障害が危険な理由はずばり
「誤嚥性肺炎を併発してしまうリスクがあるから」
です。
通常、
飲み込んだ食べ物は食道へ向かいます。
しかし、
飲み込みがうまくできないと…
- 食べ物が誤って気管へ入る。
- 気管を通じて肺に食べ物が到達する。
- そこで細菌が湧き、肺炎を起こす。(これを誤嚥性肺炎と言う)
肺炎は日本人の死因第3位と報告されています。嚥下障害から起こる誤嚥性肺炎がどれだけ危険かおわかりいただけたでしょうか?
嚥下障害は治る?
急性期には脳卒中患者の約30%が嚥下障害を併発していましたが、慢性期になるとその数はグンと減り、嚥下障害が後遺症として残るのは約5%くらいと言われています。
といっても
ただ何もしないで食べれるようにはなりません。
食べるためのリハビリをしたり、食べ物自体に細工を施したり、様々な試行錯誤を経て食事ができるようになるのです。
特に
言語聴覚士(ST)が担当する食べるためのリハビリがかなり重要です。
ちなみに、
嚥下障害の回復の程度は以下の要因に左右されます。
- 年齢
- 出血や梗塞の部位
- 出血や梗塞の大きさ
- 全身状態
- 意識障害の有無
- 合併症の有無
- 経管栄養(NGチューブ)の有無
経管栄養についてはこちらの記事を参考に
▶︎ 脳梗塞後遺症の嚥下障害には胃ろうを作るべき?リハビリの効果は?
最後に
嚥下障害は口から物を食べる楽しみを奪うだけでなく、併発する誤嚥性肺炎により命の危険にさらされるとても危険な障害です。
これらを予防するために適切なリハビリや食形態(食べ物の形状)の検討、口腔ケアなどが非常に重要となってきます。
また気になることがありましたら、担当の言語聴覚士に尋ねてみると良いでしょう。
以上、参考になれば幸いです。
でわ。
気になる再生医療のお話はこちら
▶︎【再生医療で回復】脳梗塞後遺症の片麻痺は治る?脳出血は?
▶︎ 脳出血後遺症の再生医療はどうなる?麻痺を回復させるには?
後遺症のしびれでお悩みの方はこちらの記事もどうぞ。
▶︎ 脳出血後遺症のしびれは治る?原因は?リハビリの治療効果は?
▶︎ 脳出血後遺症のしびれは厄介!薬が効かないときの対処法は?
▶︎【必見】脳出血後遺症のしびれに漢方薬が効くって本当?
兄弟のことです。76才、脳こうそくで入院、一か月経ちました。
鼻から管で栄養です
意識正常、手、足は動きます。しかし声が小さくて、普通の声が未だに出ません。
食事検査をしているようですが、この先が心配です
くだの付けた生活になるのでしょうか?
天沼様
コメントありがとうございます。
身内が突然脳梗塞で経管栄養となると、さぞ不安に思われたことでしょう。
心中お察し申し上げます。
ご兄弟は今現在、回復期リハビリ病院にてリハビリをされているのでしょうか?
嚥下機能を検査しているのであれば、病院側としても栄養手段を経管から経口摂取へ切り替えれないか検討中なのでしょう。
嚥下機能に関しては担当のリハビリ医師や言語聴覚士に尋ねてみることをお勧めします。
今後、経口摂取が可能になるかどうか、現時点である程度の見通しが立っているかと思われます。
意識が正常で、手足がある程度動くことは救いだと思います。
身体機能が保たれており、意識がしっかりしていれば積極的に嚥下訓練にも臨めるはずです。
無理のないペースで諦めずにリハビリを続けられるよう、ご兄弟を見守ってあげて下さいませ。
83歳妻アルツハイマー認知症会話不可ですが普通に食事は食べておりましたが、39度の熱が出て診察結果尿路感染症の診断治療にて回復、その後誤嚥障害なり食事食べず入院点滴治療中ですが、
やせ細り40日経過するが回復の兆し見えず、如何様に?
大森様
コメントありがとうございます。
憶測ですが、奥様は尿路感染によって寝たきりになり、
その期間に体力が落ちて食事ができなくなったものと思われます。
(いわゆる廃用症候群による嚥下機能低下)
食物を飲み込む筋肉が低下したために、誤嚥し、肺炎を併発したのでしょう。
肺炎症状が落ち着かないために今も絶食中なのでしょうか?
(40日経過していることを考えるとさすがに肺炎症状は落ち着いているとは思いますが)
いずれにしても点滴のみでは体力は回復しません。
経管栄養は行っていないのでしょうか?
(むしろ経鼻経管栄養または胃ろうは増設されていますか?)
今の奥様に必要なのは、全身状態の管理及び、その後の言語聴覚士介入による嚥下訓練です。
ただアルツハイマー型認知症により訓練効果は見込めない可能性もあります。
延命のためには積極的な嚥下訓練よりも、誤嚥リスクを低くするために胃ろうを増設するべきかもしれません。
奥様の回復を心よりお祈り申し上げます。
40歳のアメリカ人男性が2年半前にストロークになり発見されたのは4時間後だったそうです。右手と右脚に障害が残り、家族の説明では話は100%理解しているようですが喋ることが出来ない、現在もリハビリ中です。私が出会ったのは1ヶ月位前ですが、驚いた事に時々喋ることができるのです。たとえばトイレとか、わからないとか…。あるとき絵を書いてくれましたが素晴らしい出来で、しかも今まで使った事がない左手で描いたそうです(写真をみて描いたそうです)、歩く障害はかなり回復したようですが、右手はむくんだままだったのでストレッチを続けたところ、”むくみはとれたが固い”感じです。教会のバンドのメンバーだった当時の歌を歌うようになりましたが、母親の口を見ないと難しいようです。この1ヶ月でかなりのリハビリ効果が出ているようですが、この先彼は、どの程度まで戻れるのでしょうか?喋ることと右手が車の運転可能な位に動くようにしてあげたいのですが、いったいどのようなリハビリが、効果的なのでしょうか?
さゆり様
コメントありがとうございます。
右片麻痺、失語症の後遺症が残っているのですね。
右手がむくんでしまうということは、やはり麻痺は重度ということでしょう。
右手で車を運転するのは困難かと思います。
左手で上手に絵を描けるのであれば、利き手交換はうまくできているのですね。
であるならば、左手での車の運転が無難かと。
アメリカ人男性の友人は現在もアメリカ在住でしょうか?
アメリカならば脳梗塞の再生医療の治験を行っているところがあります。実用化も近いかと。
今後は再生医療の実用化を待ちつつ、
痲痺した手足が関節が硬くならないようにストレッチなどを継続することが重要です。
もちろん痲痺した手が少しでも動かせるなら日常生活で使用するよう心がけると良いでしょう。
77歳父の事でお尋ねします。
2月末にベッドから起き上がろうとする際
意識不明になり、失禁しているところを母が発見しました。
発見まで1、2じかんは経過していたと思います
検査の結果左脳に脳梗塞がみられ、血栓を溶かす薬、
カテーテル手術しましたが、血管が急に詰まったのもでなく
長い時間かけてゆっくり閉じていっものらしく
倒れた時と殆ど変わらない状態でカテーテル手術や治療を
終えなくてはなりませんでした。
しかし、2ヶ月後にはペースト状の食事を言語聴覚士さんから
取るようになり、リハビリ中は苦しげながらもありがとう等
言葉を発していました。
四ヶ月たち、急性期 病院から慢性期病院に転院をしたのですが、
そこでは、鼻からの栄養剤は延命措置であるので
お母様が延命措置を望まないという事で、
これからは点滴のみを行う、リハビリ硬直防ぐものが中心で
もちろん嚥下訓練も言語訓練もありません。
父はもう、口から食べる可能性は低いのでしょうか?
急性期病院で、喉が腫れ、痰が多くて食べる量が減っているとは聞いていたのですが、ナチュラルな死を選ぶには、まだ早いのでは?
まだ、自分の力で食べる可能性が残っているのではないかと
母の決断の納得いきません。
急性期の 病院では、思いがけない回復力に言語聴覚士さんが驚いていたほどなのに、転院した途端どうして急にこんな事になってしま
ったのか、動揺しています。
上林様
コメントありがとうございます。
返信が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
まとめますと、、
2月末に左脳梗塞を発症され、
4月頃には言語聴覚士によるペースト食を用いた直接訓練が行えるまでに回復していた。
7月頃に急性期病院から慢性期病院に転院され、そこで経管栄養を中止して点滴のみの栄養となった。
リハビリは可動域訓練が中心で言語聴覚士による介入はなし。
といったところでしょうか。
訓練レベルで食事を行っていたのであれば
何かしらの形状で経口摂取ができる可能性があったのではないかと思われます。
本来ならば急性期病院から回復期病院へ転院し
積極的なリハビリを行うべき患者様かと存じます。
療養型の病院へ転院する前に
病棟での食事が確立できていればこのような自体にはならなかったかと思います。
いずれにしても経口摂取を希望するのであれば
言語聴覚士のいる病院でしっかりと嚥下訓練、評価を受ける必要があります。