視床出血は脳室穿破しやすい?
そもそも脳室穿破って何?
手術をすれば治るの?
視床出血と脳室穿破
視床出血は脳出血全体の3割を占め、それなりに発症数の多い病気です。
▶︎ 視床出血の原因・症状・予後は?どんな後遺症が残る?
そして、
出血部位の「視床」は脳室に近いため、視床出血で形成された血腫が脳室内にまで及んでしまうことがあります。
これを「脳室穿破」と言います。
下図のように、脳室(中央の黒い部分)に血腫(白い塊)が及んでいる状態を示します。
(出典:http://www.nms.ac.jp/gochojunet/shinsatu/shinsatu_kitamura27.html)
視床出血や尾状核出血などで頻度が高いです。(この場合、側脳室や第三脳室に脳室穿破する)
症状としては頭痛や悪心・嘔吐、項部硬直、意識障害が出現します。
脳室穿破と水頭症
非穿破例と比較して急性水頭症を併発しやすいため、頭蓋内圧の制御に外科的処置を要する場合が多いです。(水頭症:髄液が頭蓋内腔に過剰に貯留した状態)
水頭症の主な症状として
- 歩行障害
- 認知症
- 尿失禁
などがあります。
脳室穿破に対する治療とは?
脳室内に血腫が及び、脳室拡大が強い場合は、血腫の排出や頭蓋内圧の低下を目的として脳室ドレナージや脳室腹腔シャント(V-Pシャント)を行います。
(出典:http://neurosurgery.med.u-tokai.ac.jp/edemiru/suitou/chiryou.html)
予後は?
脳出血で脳室穿破、水頭症を併発し、手術をした患者は予後不良傾向にあります。
- 重度意識障害
- 呼吸器合併症
- 術後の影響
などにより早期離床・早期歩行が遅延する傾向にあるからです。
穿破例では身体機能の改善度も低く歩行獲得が困難となり、意識障害や水頭症などの合併により入院期間も長くかかると報告されています。
予後を左右する因子としては、
- 血腫量が多い
- 高齢である(75歳以上)
が挙げられます。
以上、参考になれば幸いです。
でわ。