脳梗塞や脳出血の後遺症である片麻痺は治る?
今回は麻痺の回復過程や今話題の治療法についてご紹介していきます。
「先生、私の手足は動くようになるよね?」
これは脳卒中患者から1番多く聞かれるフレーズです。
脳出血または脳梗塞により脳細胞が壊死することで、障害された脳とは反対側の手足に麻痺が生じます。
これを片麻痺(運動麻痺)と言います。
麻痺は治るのか?
運動麻痺の回復過程には個人差があり、以下の3つに左右されます。
- 年齢
- 脳の障害部位とその大きさ
- 意識障害の有無
麻痺の回復は一般的に
発症から2〜3ヶ月あたりがピーク
とされています。
その後は緩やかな回復を辿り、
発症から6ヶ月〜1年でほぼ打ち切りの状態(プラトー)になると言われています。
そして
6ヶ月を過ぎた時点でも手足に麻痺が残っている場合、その状態から完治することはほぼ不可能となります。
逆に、
発症早期から麻痺が軽く、ある程度動かせる人の場合は、日常生活で支障なく使用できるレベルまで麻痺は回復すると言われています。
脳梗塞の場合、
極早期に治療を行えば麻痺がほとんど残らないケースもあります。
逆に、
意識障害があると麻痺の回復の妨げになるかもしれません。
脳出血の場合でも
障害部位が身体の運動に関係のない領域であったり、極めて小さい出血であれば麻痺を残さないケースもあります。
でも、
麻痺がないからといって安心してはいけません。1度脳卒中を発症した人の再発リスクは非常に高いです。再発予防の徹底に努めましょう。
麻痺を改善する治療法とは?
促通反復療法(川平法)
テレビでも話題になった麻痺の治療法です。
麻痺した手足に正しい運動を反復させることで障害された神経回路の再建を図ります。患者自身にも集中力を要する治療なので認知症のある方は適応外となります。(明らかに麻痺が重い、関節のこわばりがある場合も適応外になる可能性があります。)
また、
川平法を行うなら早いほうが良いと言われています。麻痺の回復過程に合わせて行うことが重要と言われています。
脳梗塞に対する再生医療
「骨髄幹細胞」と呼ばれる細胞を使った治療法で主に脳梗塞患者を対象に行われました。骨髄幹細胞を自分の骨髄から抜き取り、培養した後に静脈から投与します。その結果、梗塞部分の神経細胞が再生するとのこと。
この治療は臨床試験段階であるため、まだ受けることはできません。しかし、今後の展開は非常に期待できます。治療翌日から指が動き出したとか奇跡ですよね。(ちなみに研究者は札幌医科大学の本望修(ほんもうおさむ)先生です)
まとめです。
- 運動麻痺は完治しない
- 完治はしないが改善させる治療法は存在する(川平法、再生医療)
後遺症として残った運動麻痺といかにうまく付き合っていくかが肝だと思います。
日々の生活の中でも麻痺した手足を極力使うようにして使用頻度を落とさないよう心がけていきましょう。そのために退院後もリハビリを継続して適切なアドバイスをしてもらう必要があります。
また、
継続して麻痺した手足のリハビリを続けていけば多少なりとも麻痺の改善は認めるという報告もあります。完全にプラトーになったとしても川平法を行って麻痺がある程度改善した例も多く報告されています。
大事なのは諦めないことだと思います。
以上、参考になれば幸いです。
でわ。
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