経頭蓋磁気刺激(TMS)と集中的なリハビリを併用することで脳出血や脳梗塞の後遺症である半身麻痺の回復を促進するという報告があります。
経頭蓋磁気刺激とは?
経頭蓋磁気刺激(TMS:transcranial magnetic stimulation)は頭皮上に設置したコイルにパルス電流を流し、脳内に誘導した渦電流によって神経を刺激する治療法です。
誘導電流を用いるので無痛・非侵襲的です。
このTMSを用いて繰り返し神経を刺激する治療法が反復経頭蓋磁気刺激(rTMS:repetitive transcranial magnetic stimulation)と言われています。
↓ こんな感じの8字コイルを使用して頭蓋内の神経を刺激します。
(出典:http://thereseborchardblog.com/2015/01/02/transcranial-magnetic-stimulation-tms-offers-hope-for-treatment-resistant-depression/)
rTMSの作用は?
脳の働きを抑制または促進することができます。
この興奮特性の変化を利用して脳卒中の片麻痺やうつ病、パーキンソン病などの治療に用いられています。
片麻痺の場合
片麻痺では脳内の運動を司る領域(運動野)は左右で互いに抑制関係にあり、健側の運動野が障害側の運動野を過剰に抑制している可能性があります。
そこでrTMSを用いて健側の運動野を抑制させる、あるいは障害側の運動野を促進させることで治療が行われています。
麻痺の回復には損傷の少ない神経細胞が活動性を増すことで、障害された神経機能を補うことが重要となります。これを脳自らが働きを変える:脳の可塑性と言います。
脳の可塑性を高めるための準備運動としてrTMSは最適な治療法です。
合わせて集中的なリハビリを行うとさらに効果は期待できます。
rTMSとリハビリの併用効果
東京慈恵会医科大学附属第三病院を含む8病院にて1008名の脳卒中患者を対象に行われた治療では、
15日間の併用治療で麻痺側上肢の運動機能が有意に改善したとの報告があり、治療後の4週間後も維持効果があったとされています。
かなり短期間での治療で効果は出ています。
が、内容的にはかなり集中的なリハビリだった模様。
「1回20分のrTMSと直後の2時間のリハビリ」
このセットを午前と午後の2回行うらしいです。なかなかきつい…
まとめです。
- rTMSはリハビリを行う前の準備運動として用いられると最適。
- 集中的なリハビリと併用すれば15日間という短期間でも麻痺の回復は期待できる。
脳の可塑性が高まった状態で川平法などの手技を併用すると良いのではないでしょうか?
以上、参考になれば幸いです。
でわ。